堀川夜討(全文版) 2018年12月16日 【幸若舞曲一覧(リンク先)】 1 梶原景時の謀略 さる間、判官(源義経)明ければ参内申されたり、帝叡覧ましまして、関東滞在(兄頼朝の勘気を受けて対面も許されず引き返し、途中で処刑した宗盛の首と共に帰洛する)が僅かで上洛したことは気がかりであるが、帝を守護し申さば、逢坂より西三十三ヶ国を賜わると勅命をお受けして六条堀川の宿所堀川殿に移らせ給ふ。 かくて、近国隣国の大名小名、関東よりの御上…続きを読む
烏帽子折(全文版) 2018年12月14日 【幸若舞曲一覧(リンク先)】 1 牛若烏帽子折を尋ねる そもそも安元元年三月中旬に、源の牛若殿、鞍馬の寺を御出であり。 今日喜びに近江(喜びに、あう身を掛ける)なる野路の宿にて、(三条に住む)奥州の金商人吉次信高に行き合せ給う、その日の泊りは鏡の宿(滋賀県竜王町の宿駅)、吉次の宿は菊屋と聞こうる。 鏡の宿の遊君、歓迎の酒肴を用意し吉次殿をもてなす、さる間、吉次羽振りをきかせた態度で…続きを読む
笛の巻(全文版) 2018年12月11日 【幸若舞曲一覧(リンク先)】 1 牛若、母の贈り物の笛を習う さる間、牛若殿、鞍馬の寺(の僧房の一つ)東光坊にて学問究め給ふ。筆をとっての筆法(筆の運び方習得)に、魚鱗・虎爪(こそう)、水露の点、孔子、老子の筆の跡、文書(書状を書く際の文体について説いた書物)の数を残さず習ひぞ究め給ひける。 (「筆法之得伝」と号される手本に漢朝王羲の懸針、 垂露、 返鵲、 廻鸞、 魚鱗、 虎爪の6様図…続きを読む